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絞り染めとは?

絞りは原則として、生地を染料に浸して染める、〝浸染〟によって彩色される技法です。ゆえにその模様は、染めずに白く残すことで表現されるのです。いかに染めない部分に染料をしみ込ませず美しく仕上げるかが重要でした。

その方法として、絞りは布を糸で括って防染するといわれますが、実際の技法上、もちろん布を糸で括って縛り付けるだけでは、とうてい高度な表現などできません。そこで、精巧かつ熟練の手わざが編み出され、現在に受け継がれてきたのです。

絞りには、色を挿したりなぞっただけでは表せない、布の内を貫き通った色彩の深みと奥行き、そして圧倒的な迫力が感じられます。

 
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19世紀後半から20世紀半ばまでの製作風景

写真は1925年頃のもので、手柄や髪飾りの染色生産の様子です。下張り、絵刷り、括り、漂白、染色、糸解き、湯のしなどの作業を分業制で行っていたのは、今も同じです。

 
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 京鹿の子絞りの基本工程

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1. 下絵

布に青花で付けられた下絵。これが模様の輪郭になります。

2. 糸入れ

下絵の輪郭に沿って、間隔を揃えて糸を縫っていきます。

3. 括り(絞り)

糸入れした布をぎゅっと寄せて筒状にし、根元から先端へ糸を巻き上げていく括り(絞り)の工程。
ここの技法で模様の表現が決まる大切な工程です。

4. 染め

絞りは、刷毛で引き染めにせず、白目の布を染液にどっぷり浸して染める方法です。染液をしみ込ませないよう、いかに防染するかが大事です。

5. 糸解き

染めたあと、括っていた糸を切ってほどき、縮まった布を伸ばす工程です。

6. 完成

 

 絞りの種類

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唄絞り (ばいしぼり)

糸できゅっと絞ったその形が貝に似ていることから貝絞り(唄絞り)と呼ばれています。生地に糸入れをし引き締めた後巻き上げていく方法と、糸入れをせずに生地に糸を巻きつけていく方法があります。

 

突出し絞り (つきだししぼり)

生地の根本だけを糸で括る技法です。図柄が小鹿の斑点に似ていることと、糸を絞ってできる凹凸、突出しからその名がつけられました。

 

板締め絞り (いたじめしぼり)

折りたたんだ布を2枚の板で挟み、染料に浸して染める染め方です。三角や四角の連続模様で、麻の葉や雪花絞りと呼ばれる花模様などが染め出されます。

 

まん丸絞り (まんまるしぼり)

生地を丸めて縦横ランダムに糸をかける「まん丸絞り」。 2枚として同じ柄にはならない予測不能な柄の出方が魅力です。

 

雪花絞り (せっかしぼり)

生地を縦に四つから、八つ折りにしたものを方形、あるいは、三角形にたたみ、一廻り小さな2枚の板で生地を挟み、ひもで強く締め、折り目や隅を染料に浸して染めます。
染め上がると筋や六花模様があらわれます

 

手筋絞り (てすじしぼり)

できあがりの具体的なイメージをデザイナーから託された職人の熟練の感覚ひとつで、括り糸の間隔や強弱を自在に決定し、下絵のない生地が見事に絞り上げられます。
精緻な疋田絞りなどとは異なり、糸入れの自由度が高いこの絞りは、糸をほどいた瞬間の思いがけない迫力に息をのみます

 

杢絞り (もくしぼり)

下絵にそって糸で縫い、その糸を引き締めて染まらない部分を柄として染めだす技法です。染め上がりが樹木の杢目に似ていることから、杢目絞りと呼ばれます。

 

疋田絞り (ひったしぼり)

子鹿の背の斑点に似ていることから称される鹿の子模様を表現する絞りです。数ある技法の中でも疋田絞りの表現は、江戸時代以来もっとも豪奢華麗を極め、それゆえ疋田絞りを代表技法とする京都の絞り産地で作られる絞り染を総称して「京鹿の子絞り」と呼ばれています。

 

三浦絞り (みうらしぼり)

染め上がりの放射状に伸びた点模様が千鳥の足跡のような模様に見えることが特徴です。絞る人の力加減が模様となって表現されるような趣が味わい深い技法です。